一見すると油絵のように見える「ひまわり」ですが、実は無数の糸で紡がれあみ出された芸術刺繍(artistic embroidery)なのです。
繊細な花びらの表現や微細な影、机のぬくもりなど油絵以上に立体感と生々しい息遣いを感じるのは、この作品が糸という立体物で作られているから。
不思議なことに一本一本の絹糸にそれぞれ「意味」を持たせると、そこには平面の中に切り取られた瞬間的な美が聳立(しょうりつ※)します。
1mmにも満たない絹糸という立体物を編み込まれて生まれる芸術刺繍たちは額縁の中に収められた平面の芸術でありながら、写真以上のリアリティを有しています。
――それはまるで現れてはすぐさま消えてしまう刹那の美しさが永遠に残っているかのように。
一瞬の「完全調和の美」の空気感すらも、永遠に芸術作品として味わい続けることができるのが現代芸術刺繍の最大の特徴です。
※聳立……そびえたつの意
現代芸術刺繍のルーツは三国志の舞台として知られる「呉」の時代には、すでに確立しており、その歴史は2500年以上。
世界三代刺繍に数えられた伝統刺繍に、近代の西洋絵画のリアリズムと陰影の技術を加えて生み出されたのがSHUで取り扱う「現代芸術刺繍」の作品たちです。
日本では当ギャラリーだけが取り扱っている伝統芸術刺繍の到達点「現代芸術刺繍」に、ぜひ芦屋のギャラリーで触れてみてください。